「四谷シモン 前編」

ーーはじめにかえてーー



人  形

 そう死ぬときは自分を人形としてつくりあげればいい。人形として死ぬことは人形をつくりつづけてきた自分にはつじつまがあいそうだ。自分に似た人形をつくりはじめてから自己愛が具現化してきた。人形と完全に一体化することが可能になってきた。生きている自分と死んでいる人形は寸分たがわずかさなりあうことが夢でなくなってきた。ふと思った、死ぬじゅんびとして何か考えなければいけないと。人形になることに安心感があったのかもしれない。ものとなってしまった自分は見ひらいた目に何がうつるのだろう。この人形はどんな素材と化してしまったのだろう。ふはいしない死体。石のような。固いりんかくをもちながら少しのいきをするのだろうか。


「四谷シモン前編」の内容