「人形作家」 Un createur de la poupee Memoires du passee par Yostuya Simon |
この一冊は、四谷シモンの、青春の暴風圏の記録であり、昭和という溶けか けていく時代へのエレジーでもある――嵐山光三郎さん、本書前書きより |
2002年11月、講談社現代新書から四谷シモンの半生記「人形作家」が刊行されました(200ページ、巻頭に篠山紀信さん撮影のカラー・グラビア写真入り、税別価格¥880)。 当ページでは、その内容を簡単にご紹介します。 【内容】 序文 シモンとは何者であるか (嵐山光三郎さん) 第1章 人生が始まっちゃった いつもひとり〜夫婦喧嘩〜小学校でストリップ〜母の家出〜さびしい出発〜第一作品はしゃれこうべ〜転校続き〜今にみてろ〜布の人形を作る〜母とのすれ違い〜北池袋の父の記憶 第2章 問題児の青春 問題児と人形〜妄想する楽しみ〜母の再婚〜質屋通い〜人形作家の家〜警察のお世話に〜進路は人形〜人形を売る〜洋品店の納豆汁 第3章 新宿に漕ぎ出す ロカビリーの世界へ〜シモンになる〜四谷婦人会〜現代人形美術展に入選〜歌手になる〜クラリネットを突き刺す人形〜爆発する人形〜ベルメールの衝撃 第4章 女形・四谷シモン誕生 職人に徹する決心〜澁澤龍彦の世界に近づく〜唐十郎、状況劇場との出会い〜状況劇場の舞台に〜四谷シモンの誕生〜張り子人形づくりを学ぶ〜父の死を知る〜パリに行く〜パリの日々〜的場のお銀〜新宿西口中央公園事件〜アングラ御用だ! 第5章 ただごとじゃつまらない 唐十郎と寺山修司〜元締め唐十郎〜芝居と酒〜発作的なアドリブ〜「太陽」にとりあげられる〜大阪万博〜資金稼ぎの歌謡ショー〜舞台装置になった人形〜被写体となる〜芝居の季節が終わる 第6章 人形作家としてデビュー 「ドイツの少年」〜凍てついた人体表現〜細部へのこだわり〜第一回個展にむけて〜「未来と過去のイヴ」 第7章 人形観を模索する日々 新しい人形の世界へ〜青木画廊〜シモンドールとアンティーク・リプロダクション〜「慎み深さのない人形」〜エコール・ド・シモン設立へ〜方向転換〜個性をつぶさない [人形制作のプロセスについて] 第8章 答えはない 大忙しの一年〜瀧口さんの死〜「機械仕掛の少年」〜エコール・ド・シモン展と大病〜ふたたび役者に〜大河ドラマ〜久世光彦さんのドラマ〜作品集刊行〜澁澤さんの死〜浮遊感にとらわれて〜自分で出した答え〜「人形愛」展を開催〜ナルシシズム 【推薦の辞】 四谷シモンさんの「人形作家」は昨今めずらしく読み応え、噛み応えのある本です。 本書では状況劇場におけるチームとしての表現から人形作家という個の表現へと向かうシモンさんの葛藤がつまびらかに著されています。また、リメーク、コピー、量産といった作品の規格化を拒み、人形に限らず文化そのものの類型化を忌み嫌ってきたシモンさんの本音が澹澹と綴られています。 四谷婦人会から状況劇場へ、青木画廊における狂気の第一回目の個展から疾風のような二回目の個展に至るまで、人形と共に疾駆したシモンさんの半生が克明に刻まれています。60〜70年代の貴重な証言であるにとどまらず、一人のシャイな暗い美青年がどのようにして表現者に成り果せていったのか。かつて地上にあり得なかった息吹をいかにして人形に吹き込み、ヒトガタを作るとの行為のなかで自らを昇華させていったのか。華やかな表現の裏に潜む、作家の心のなかで反芻され揺れ動く怨念、遺恨の一端を読者はかいま見ることになります。 澹澹と前述しましたが、過去の怖ろしいシモンさんを知っていればこそ、その執着のなさに私などは眩暈を感じたほどです。作り手としてのシモンと拵えられたシモン・ドールとの間に生じる呻吟、呻吟というよりは繰り返される同化と解体。その間にごろんと横たわる今ひとつの存在。私はその存在を「シモンという名の人形」と名付けたく思います。 (渡辺一考さん・ですぺら主人) 【ワンポイント情報】 「毎日新聞」(12月15日号)の「本と出会う――批評と紹介」欄に「シモンの人形がどこかひっそりしている秘密がわかる」として紹介されました(執筆者・川さん)。 「SAPIO」(12月25日号、小学館)の「見たり読んだり」欄に「状況劇場に入るまでの少年時代の話が凄い」として紹介されました(執筆者・川本三郎さん)。 「週刊朝日」(12月13日号)の「新書漂流」欄に、「まるで新宿アングラ風雲録」として、「人形作家」が紹介されました(執筆者・永江朗さん)。 【著者サイン本のご案内】 「人形作家」の四谷シモン自筆サイン本は下記で扱っております。 ・東京 青木画廊(東京都中央区銀座3−5−16島田ビル2F、TEL=03−3535−6858) スパンアートギャラリー(東京都中央区銀座2−2−18西欧ビル1F、TEL=03−5524−3060) アートスペース美蕾樹(東京都渋谷区宇田川町17−1渋谷ブラザービル4F、TEL=03−3463−8477) ・京都 アスタルテ書房(京都市中京区三条御幸町上ルジュエリーハイツ202、TEL=075−221−3330) ※青木画廊とスパンアートギャラリーでは、遠方の方に送料実費でサイン本の郵送も行っておりますので、各画廊のサイトからメールでお問い合わせください。 |